東方朔牙彫根付

江戸時代・18世紀
高2.2
線刻銘「蘭亭」
東京国立博物館
郷誠之助氏寄贈

東方朔(とうほう・さく、紀元前154年~紀元前92年)は前漢・武帝時代の政治家。
武帝に「今年22歳になり、勇猛果敢、恐れを知らず、知略に富んでいるので、大臣に向いていると思う」と自ら推薦状を送った。これを武帝が気に入り、常侍郎や太中大夫といった要職につかせた。
東方朔と同時代に武帝に仕えた司馬遷は、『史記』第66「滑稽列伝」中に東方朔の経歴を残した。
滑稽な行いをすることから、中国ではお笑いの神様として尊敬されている。

知己に富んだ言動から仙人のように描かれるようになった。
日本では能の演目「東方朔」でも知られている。
西王母の庭から盗んだ長寿の桃を食べて800年生きたとされることから、東方朔といえば桃を手にした姿で描かれることが多い。
西王母は崑崙山の主でもある女性の仙人。「西遊記」では孫悟空が西王母の庭の管理人をしている時に長寿の桃を盗んで食べ、永遠の命を手に入れる。
本作からは、そんな説話や物語が江戸の人々の間では一般常識として共有されていたであろうことがうかがえる。
長寿の願いがこめられた置物根付である。
銘は寛政期の名工「蘭亭」。

出典:国立博物館所蔵品統合検索システム