江戸時代・19世紀
長径3.3
線刻銘「正直」
東京国立博物館
(こうじりゅうもくちょうねつけ)
柑子(こうじ)の中に身を収めた龍の意匠。
柑子は古くから日本で栽培されている柑橘の一種。ウスカワミカン(薄皮蜜柑)とも言われる。
丸く、根付として実用性があるからであろうか、比較的多くみられるデザインである。
「正直」には18世紀の京都「正直」と、19世紀の伊勢「正直」の二つがある。
京都「正直」は「装劍奇賞」でも「象牙木彫スベテ上手最賞スベシ」と最上級の賛辞が送られている。
伊勢「正直」は上田令吉「根附の研究」等の記述からわかっているだけでも五人の「正直」銘がある。
文化十二年(1815年)伊勢に生れた鈴木新助(後に新左衛門)を初代とし、初代の門人であった二代正直(三宅長五郎)、その子である三代正直(三宅喜三郎)、さらに初代の門人の米平が正直銘を用いた「射和正直」(いさわまさなお)、同じく初代正直の門人である伊勢山田の鰻屋「筑前屋」の正直(筑前屋正直)。
- 初代「正直」鈴木新助(後、新左衛門)、文化12年~明治23年(1815-1890年)
- 二代「正直」三宅長五郎、嘉永元年~大正11年(1848-1922年)
- 三代目「正直」三宅喜三郎、明治23年~?
- 射和正直、米平、初代の門人
- 筑前屋正直、初代の門人、「正一」の銘も用いる。伊勢山田の鰻屋・筑前屋
時代的には初代が江戸後期、他は明治期の作になるのであろうか。
初代「正直」は鳥羽藩士の一旦から根付作りを学び、多くの根付を製作。伊勢参りの土産物として人気を博した。
草鞋に蛙や丸鼠等、今でも人気の高い意匠で知られる。


