猿廻木彫根付

江戸時代・18世紀
高3.0
線刻銘「三輪」
東京国立博物館
郷誠之助氏寄贈

膝に顔をうずめて眠る猿廻しの男と、それを籠の中から見守る猿。
素朴な彫だが、塊感のある意匠は古根付然とした趣がある。
「三輪」は「装劍奇賞」の根付師の項のトップに記述がある。

江戸關口水道町 上手なり、子供の獅子遊、蛸獵師など稱する物あり、すべて櫻木の素刻(スボリ)にして、紐通の穴に萌黄の染角を入る、象牙の物はなし
「装劍奇賞」より

また、上田令吉「根附の研究」には「三輪と銘するもの三四人あり」として、詳しい記述がある。

  • イ、三輪勇閑姓廣森、紀伊國屋庄左衛門と稱し江戸關口水道町に住す
  • ロ、三輪在栄 花信齋と號す、江戸麹町邊に住す
  • ハ、三輪利寛、傳記未詳

三人の「三輪」の記述がある。
郷コレクションにも「三輪」銘の作は木刻だけで17個収蔵され、いずれも古根付の趣がある。
18世紀後半、江戸中期(文明、寛政の頃)にいち早く根付を量産して江戸根付の開祖的存在であったのであろうと推測される。

出典:国立博物館所蔵品統合検索システム