江戸時代・19世紀
高3.4
線刻銘「正一」
東京国立博物館
少し前屈みになって座る姿勢をとらせることで丸みを帯びた造形に仕上げていますが、右足の広がり方が根付としての実用性に耐えうるかどうか疑問。
愛嬌のある天狗の表情や体毛の彫り込み方などからは、江戸末期から明治初期の職人ならではのセンスが感じられて素晴らしい。
団扇の下の左足の指先が欠損しているように見えます。
「正一」は上田令吉「根附の研究」に詳しい記述がある。
澤木萬次郎と稱し奇峰堂又は奇峰齋と號し正利の弟なり、名古屋の人なりしが後大阪に出で木刻牙刻をなし巧みに神仙、人物、獣蟲、假面等を作る、當時貿易用として升鼠の根付を作りしに外人の趣好に適し多数同一圖を作れり、明治二十四年一月二十八日五十三歳を以て歿す(彫銘、正一)。
明治前半に輸出用の品を多く作った名工である。


